
近年、人手不足に伴い、特定技能外国人を採用する企業が増えています。外食業分野でも多くの特定技能外国人が採用されており、2025年6月末日時点で36,281人の特定技能外国人が飲食業の現場で働いています。
一方、これから外国人材の採用を検討している企業の中には「本当に外国人材に日本の飲食店での仕事を任せることができる?」「特定技能外国人にはどのくらいの日本語レベルがある?」といった不安や疑問をお持ちの方も多いです。
そこで今回は、外食分野の特定技能外国人が実務に従事するうえで必要な日本語レベルや、日本語能力の高い外国人材を採用するための手法などについて解説します。外食業分野で特定技能外国人を採用しようと考えている企業の経営者や人事、教育担当者、現場責任者の方は、ぜひこの記事を参照してみてください。
特定技能外国人の日本語レベルとは
特定技能外国人の日本語レベルは在留資格や日本での滞在歴などによって異なります。ここでは、在留資格ごとの特定技能外国人の日本語レベルについて解説します。
「特定技能1号」人材の日本語レベル
特定技能1号人材の中には、次の2パターンの人材がいます。
- もともと海外に在住しており、「特定技能」の在留資格を取得して初めて日本に来た人材
- 「技能実習」「留学」などの在留資格から特定技能に移行した人材
もともと海外に在住しており、「特定技能」の在留資格を取得して初めて日本に来た人材
特定技能の取得をきっかけに初めて来日した外国人材は、要件として課されている日本語試験に合格するために、一定程度の学習を積んできています。しかし、ネイティブスピーカーである日本人とのコミュニケーション経験は乏しいことが多いです。
また、日本語試験では「話す」「書く」能力を測る問題が出題されないため、日本語でのスピーキング・ライティングに苦手意識を持っている方も少なくありません。
そのため、柔軟な対応が求められる接客業務や、職場での同僚との会話などの場面で、スムーズに日本語でやり取りできるようになるまでに一定の教育期間がかかることが多いです。
「技能実習」「留学」などの在留資格から特定技能に移行した人材
これに対して、「技能実習」「留学」などの在留資格で既に日本に滞在していた外国人材は、前職や日本語学校、高校・大学などの教育機関で、ネイティブスピーカーである日本人とやりとりした経験を豊富に持っています。また、日本での生活を通してスピーキング・ライティング能力も鍛えられていることが多いです。
そのため、来日して間もない外国人材よりも日本での滞在経験がある外国人材の方が早いタイミングで日本語を用いた業務を覚えることができる方が多いです。
「特定技能2号」人材の日本語レベル
特定技能2号は、基本的に特定技能1号のステップアップ先として設けられている在留資格です。つまり、特定技能2号の在留資格を取得している外国人材の多くは、特定技能1号の在留資格で、最長5年間にわたって日本で働いた経験を有していることになります。
また、特定技能2号に移行するためには、実務経験に関する要件を満たさなければなりません。実務経験に関する要件は特定産業分野や業務区分によって異なりますが、多くの場合は2年以上の実務経験が必要となります。
たとえば外食業分野の場合、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人などを指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者としての2年間実務に従事することが要件として課されています。
加えて、特定技能2号の在留資格を取得するためには、難易度の高い技能試験などに合格する必要があります。外食業分野、漁業分野では高度な日本語試験への合格も要件として課されています。
以上から、特定技能2号の在留資格を取得している場合は、現場で管理業務を任せられるレベルの日本語能力があることが多いです。
特定技能制度の概要
特定技能制度とは、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(以降「特定産業分野」)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格制度です。
2019年度に特定技能制度が創設されて以降、外食分野を含む16種類の特定産業分野で特定技能外国人の採用が積極的に進められています。
参照元:
特定技能1号・特定技能2号とは
特定技能の在留資格には、特定技能1号・特定技能2号の2種類があります。特定技能1号・特定技能2号の主な違いをまとめると、下の表のようになります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留資格の定義 | 相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行うための在留資格 | 熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うための在留資格 |
| 在留資格の取得要件 | 技能試験と日本語試験に合格する必要がある(ただし対象の技能実習2号を良好に修了した場合は免除) | 特定技能1号より高度な技能試験に合格する必要があるほか、一定の実務経験が求められる |
| 在留可能な期間の上限 | 通算で上限5年 ※3年を超えない範囲で指定された期間 | 在留期間の更新を行えば上限なく滞在可能 ※3年、2年、1年または6ヶ月ごとの更新 |
| 受入れ機関などによる支援の要否 | 受入れ機関または登録支援機関による支援義務あり | 受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外 |
| 家族帯同の可否 | 原則として家族帯同は不可 | 配偶者と子の帯同が可能(ただし「家族滞在」の在留資格の取得が必要) |
| 特定技能外国人の総数(2025年6月末日時点) | 333,123人 | 3,073人 |
登録支援機関とは
登録支援機関とは、受入れ機関に代わって、特定技能1号の外国人材に対する支援や出入国在留管理庁への各種届出をサポートするための機関です。登録には出入国在留管理庁の認可が必要となります。
特定技能1号の外国人材を受け入れる場合、受入れ機関は「1号特定技能外国人支援計画」を作成の上、計画に基づいて義務的支援を提供しなければなりません。
義務的支援には、次の10種類の支援項目が含まれます。
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きなどへの同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- (受入れ機関側の都合による人員整理などを行う場合)転職支援
- 定期的な面談・行政機関への通報
これらの支援を提供するにあたって、受入れ機関には過去に外国人材の受入れ経験があるか、生活相談業務に従事した役員・職員が在籍していることが要件として必要となります。
要件を満たせない場合や、支援にかかる知見・ノウハウや人的リソースが不足している場合には、登録支援機関に義務的支援を委託することができます。
当社ワールドインワーカー株式会社(以下、「ワールドインワーカー」)では、特定技能外国人に特化した人材紹介業務に加えて、登録支援機関として生活・定着支援業務を提供しています。採用から教育、定着までワンストップで支援することができるため、人材紹介と登録支援をセットでご利用いただくお客様が多いです。
登録支援機関への委託を検討されている方はワールドインワーカーまでお気軽にご相談ください。
特定技能制度の「外食業分野」とは
特定技能制度における外食業分野とは、飲食物の調理や接客、店舗管理など、外食業に関する業務に従事する分野です。2025年6月末日時点で、外食業分野の在留外国人数は次のとおりです。
| 在留資格 | 在留外国人数 |
|---|---|
| 特定技能1号 | 35,771人 |
| 特定技能2号 | 510人 |
政府では、日本全体で受入れが可能な特定技能外国人の在留外国人数の上限を設定しています。外食業分野の場合は、2024年度から2028年度までの5年間にかけて、最大で53,000人の特定技能外国人が受け入れられる見込みとなっています。
外食業分野で任せることができる業務内容
外食業分野の特定技能外国人には、次のような業務を任せることが可能です。
| 業務内容 | 概要 |
|---|---|
| 飲食物調理業務 | 顧客に提供する飲食物の調理・調製・製造に関する業務 |
| 接客業務 | 顧客に飲食物を提供するために必要な飲食物調理以外の業務 |
| 店舗管理業務 | 店舗の運営に必要となる業務のうち、飲食物調理・接客以外の業務 |
この他にも、関連業務として、店舗で提供する飲食物の原材料として使用する農林水産物の生産や、調理品以外の物品の販売などに携わることができます。ただし、主な業務に従事せず、関連業務のみを任せることはできないことには注意が必要です。
外食業分野における日本語能力の重要性
外食業分野においては、さまざまな場面で日本語能力が求められます。
| 業務内容 | 求められる日本語能力 |
|---|---|
| 飲食物調理 | ・作業指示を理解し、安全に調理を行うための理解力として、少なくともJLPT N4以上の日本語能力が必要 ・衛生管理や危機管理、レシピ作成などの場面ではJLPT N3以上の日本語能力があると安心 |
| 接客 | ・スムーズな顧客折衝のためのコミュニケーション能力として、JLPT N3相当の日本語能力があることが望ましい ・顧客からの想定外の質問やクレームなどに適切に対応するためにはJLPT N2以上の日本語能力が必要 |
| 店舗管理 | ・ビジネス文書などの理解力、上司・取引先とのコミュニケーション能力として、JLPT N2相当の日本語能力があることが望ましい ・仕入れや在庫管理など、店舗経営に関わる業務を円滑に行うには専門的なビジネス日本語の理解が必要 |
| その他 | ・日本における一般的なテーブルマナーや食事文化に関する理解が必要 ・他の従業員に業務指示や教育指導を行う際のコミュニケーション能力(JLPT N2相当の日本語能力があることが望ましい) |
このように、外食業分野では日本語能力が求められる場面が多くなっています。そのため、他の特定産業分野とは異なり、外食業分野では特定技能2号の在留資格を取得する際にJLPT N3相当の試験への合格が要件として課されています。
特定技能外国人の採用ルート
特定技能外国人の採用ルートは、主に次の2種類があります。
- 海外に住む外国人材を採用するルート
- 国内に在住している外国人材を採用するルート
ここでは、特定技能外国人の採用ルートについて解説します。
参照元:外国人材活躍解説BOOK(東京商工会議所・日本商工会議所)
海外から採用するルート
海外から採用するルートとしては、主に次のケースが想定されます。
- 新たに特定技能試験に合格した海外の外国人材を採用する
- 母国に帰国した元技能実習生などに特定技能の在留資格を取得してもらい採用する
1つ目のケースの場合は、日本に住んだことがない外国人材が対象となるため、日本の企業文化やビジネスマナー、日本語でのコミュニケーションなどの教育に工数やコストがかかることが多いです。
2つ目のケースの場合は、日本での在留経験があるため日本語レベルは相対的に高くなりますが、対象者数が絞られるため、採用の難易度が高い傾向があります。
国内から採用するルート
国内から採用するルートには、主に次のケースが想定されます。
- 日本にいる技能実習2号の修了者に特定技能に移行してもらい採用する
- 特定技能試験に合格した外国人留学生を新たに採用する
- 既に特定技能1号で働いている転職者を採用する
1つ目のケースでは、特定技能に移行するには、技能実習制度で同一分野の仕事に従事している必要があります。外食業分野や宿泊分野など、技能実習制度の対象に入っていない職種ではこのルートでの採用ができないため注意が必要です。
2つ目のケースについては、在学中にアルバイトなどを経験していない場合、日本企業での勤務経験がないことがほとんどとなります。そのため、日本人の新卒入社者と同様に、しっかりとしたビジネスマナー研修などが必要となります。
3つ目のケースは、日本での就労経験があるため即戦力化しやすい点がメリットです。一方で、特定技能1号は 在留期間が通算5年までのため、残存期間が短い人材も一定数います。
転職時点で残りの在留可能年数を必ず確認し、長期雇用を見込めるかどうかを事前に把握することが重要です。また、前職の離職理由が再発リスクとなることもあるため、条件面のすり合わせや期待値調整は丁寧に行う必要があります。
国内・海外から採用するルート別の特定技能外国人の日本語レベル
国内・海外から採用する場合において、特定技能外国人の日本語レベルに違いはあるのでしょうか?ここでは、国内・海外から採用するルート別の特定技能外国人の日本語レベルについて解説します。
参照元:外国人材活躍解説BOOK(東京商工会議所・日本商工会議所)
海外から採用するルートにおける特定技能外国人の日本語レベル
海外から採用するルートを活用する場合、ほとんどの外国人材が特定技能の在留資格を取得して初めて来日することになります。日本で暮らした経験がなく、日本人に囲まれてコミュニケーションをする機会が乏しいため、相対的に日本語レベルが低い人が多いです。
また、日本と海外では企業文化やビジネスマナーの捉え方が大きく異なります。たとえば、日本では組織で成果を出すなどチームプレーを重んじることが常識とされていますが、海外では個々に権限が移譲され、自分の仕事に集中的に取り組む文化があります。
海外の企業で実務に従事した経験が長くても、「報告・連絡・相談」をしない人や「稟議・承認」などのプロセスの必要性がわからない人も多いです。
このような背景から、海外から採用する場合には日本の企業文化やビジネスマナーを改めて理解してもらう必要があり、教育に負荷がかかることが多いです。
国内から採用するルートにおける特定技能外国人の日本語レベル
国内から採用するルートの外国人材には「技能実習」や「留学」など、他の在留資格で日本に滞在していた経験があります。前の職場や学校などで日本人とやりとりをしてきた経験があるため、相対的に日本語レベルが高い人が多いです。
また、日本での勤務経験がある場合、日本固有の企業文化やビジネスマナーを教育する負荷がかからず、職場にも馴染みやすいという特徴があります。
日本語レベルの高い特定技能外国人を採用するならワールドインワーカーにお任せください
特定技能1号の在留資格を取得するためには、外国人材は要件として課された日本語試験に合格しなければなりません。そのため、特定技能外国人は一定の日本語能力を有しているといえます。
初めて来日する外国人材を採用する場合、日本人とのコミュニケーション経験の乏しさから、職場でスムーズに日本語でやりとりができるようになるまでに時間がかかることがあります。
対して、これまで「技能実習」や「留学」など、他に在留資格で国内に滞在していた経験がある特定技能外国人はベースとなる日本語能力が高いため、比較的早く業務を覚えてもらうことができる傾向があります。
外食業分野で日本語レベルの高い特定技能外国人を採用するなら、国内に滞在する特定技能外国人の紹介・教育・定着に強いワールドインワーカーにおまかせください。最後に、ワールドインワーカーと事業の概要を紹介します。
ワールドインワーカーとは
ワールドインワーカーでは、国内特定技能外国人に特化した人材紹介事業・登録支援事業を提供しており、採用マッチングから在留資格の申請、入社後の生活支援・トラブル対応までワンストップでサービスを展開しています。
飲食業に特化した人材サービス事業を営む上場企業、クックビズのグループ会社でもあるため、「飲食業特化の外国人材紹介」として、より多くの企業様に安心してご利用いただくことが可能となっています。
ワールドインワーカーの人材紹介事業の概要
ワールドインワーカーは、2014年の留学生アルバイト支援を起点に、約10年にわたり外国人材領域に特化した人材紹介事業を展開してきました。
国内在留者へのリーチに強みを持ち、独自のマーケティング基盤により年間約10,000名の登録を獲得しています。この集客力と領域特化の知見を武器に、企業と外国籍人材双方に最適なマッチングを実現しています。
ワールドインワーカーで紹介している外国人材には次のような特徴があります。
- 国内に在留しており、既に特定技能の資格を有している方が中心
- 飲食業界での実務経験がある
- JLPT N2~N4相当の日本語能力がある
- ベトナム、ミャンマー、インドネシア、ネパールなど多様な国籍の方を紹介できる
また、ワールドインワーカーでは、候補者との面談・コミュニケーションを原則日本語で実施しています。これにより、実務に耐えうる日本語レベルの見極めはもちろん、業務理解度や価値観、働く姿勢といった定着に直結する要素まで丁寧にスクリーニングすることが可能です。日本語で深い対話を重ねたうえで紹介を行うため、入社後のギャップが少なく、高い定着率につながっています。
ワールドインワーカーの登録支援事業の概要
ワールドインワーカーは、登録支援機関としての認可も受けています。
登録支援事業では、専任のコンサルタントが生活面・労働環境・コミュニケーションなど、外国人材採用に伴い生じるさまざまな課題を包括的に支援しています。義務的支援に加え、複雑な行政手続きなども一括してお任せいただけるため、外国人材採用の経験が少ない企業様でも安心してご利用いただくことができます。
また、ワールドインワーカーでは、外国人材の定着に向けて定着支援・定期フォローを実施しています。2025年12月時点での入社後定着率は95%を超えており、外国人材の長期的な定着サポートが強みとなっています。
さらに、外食業分野での特定技能2号への移行に向けた特定技能2号試験直前対策講座も開催しています。試験頻出項目や外国人材にとってつまずきやすい項目をプロ講師が体系的に解説しているため、忙しい外国人材でも合格に必要な内容を効率良く学ぶことができます。登録支援機関としての支援項目に加えて、将来的な特定技能2号への移行までサポートすることで、企業様における長期的な人材定着を後押ししています。
まとめ
はじめて特定技能外国人を採用する企業の多くが懸念点として挙げているのが日本語レベルです。日本語レベルが低い外国人材を採用してしまうと、入社後の教育に多大なコストがかかってしまううえ、活躍してもらえるようになるまでに時間がかかってしまう可能性があります。
特定技能外国人の中にも、日本語レベルが高く、教育コストがかかりにくい人材がいます。
それは、これまで「技能実習」「留学」など、他の在留資格で国内に滞在していた外国人材です。
一方、こうした外国人材は母数が少ないこともあり、一般的な人材紹介会社ではなかなか紹介してもらうことができません。
ワールドインワーカーには、留学生のアルバイト紹介事業から始まり、10年以上にわたって外食業を中心とした国内の外国人材採用を支援してきた実績があります。そのため、日本語能力が高く、職場にすぐに溶け込むことができる外国人材を豊富に紹介することができます。
また、2023年には食産業に特化した人材サービスを営む上場企業・クックビズグループの一員となり、外食業分野の人材紹介に関する知見やノウハウが強化されています。
外食業分野で特定技能外国人の採用をはじめたいと考えている企業の経営者や人事、教育担当者の方は、ぜひワールドインワーカーまでお気軽にご相談ください。